SSブログ

山城新伍 「おこりんぼ さびしんぼ 若山富三郎・勝新太郎 無頼控」 [男にBOOKを!]

先日タワーレコードに会社の用事があって、出かけた。
会社の用事つってもDVDを買いに行っただけですがね(笑

簡単に用事を済ませて、下の階に行こうと足を向けると。
ふと足が止まる。

内田裕也であります。
こんな文庫本見て、足を止めないほうがどうかしてるってことです。

「俺はロッキンローラー」
51we3nuCW5L__SL500_.jpg

じゃぁこの本を威風堂々とレジに持っていったか?という話になったら、
違うのです。

その下の段にコレ。

51fMPs38MSL__SL500_.jpg

山城新伍「おこりんぼ さびしんぼ」であります。

監修・吉田豪と言う名前はある種、本への「太鼓判」ですから。
その堂々たる風格。

内容を見ると、若山富三郎×勝新太郎。
昭和の名優というよりは、昭和特有の無茶を地で生きた兄弟の伝記であります。

山城新伍という、第三者的客観的な視点。
親身の中に、誘惑され道を故意に外した男、山城新伍が魅せられた兄弟の話。

先に「俺、勝新太郎」は持っていたので、
兄である若山富三郎の近くにいた山城新伍からの視点は、
また違った見方で勝新太郎を見ることが出来る。

若山富三郎と勝新太郎の比較も本当に面白いし、
何よりこの兄弟は、互いに良き距離を保ち、互いに嫉妬し互いに愛していたのだと思う。

作品の秀逸とその秀でた演技への固執から、伝説になった勝新太郎に比べて、

若山富三郎は、その存在感は抜群であり、昭和の名優でありながも
代表作といわれると、すぐに声が出ないのが一般的だと思う。

勝新太郎には、座頭市があり、その存在感は国内外にも尊敬を持って話を聞くことが多い。

若山富三郎といえば、ボクはブラックレインのあの親分で。
松田優作が掌を突き刺すあの時の演技が、堪らなく好きだった。
どこかリアルを感じたもので、すっげぇなこのじぃさんと想ったものです。

しかしながら、それが若山富三郎と知るのはまた後の話で。
当然、勝新太郎の兄とも知らない。

破天荒な男の生き様が、少しだけ視点をズラしながら読むことで、
感情移入しやすいのも多分にあると思う。

成功と失敗の交錯しているのに、失敗すら雅に魅えてしまう。
普通の人ならば、間抜けで終わる1度の失敗を、平気で何度も繰り返す。

映画産業全盛の豪華な東映の俳優とのやりとりもまた、コミカルだし。
そんなことがあったんだと苦笑いを誘う。

堅実とは縁遠く、しかしながら堅実以上に、真面目で真っ直ぐで。
俗物に縛られていないようで、学歴には弱かったり。
チャーミングな部分も読んでいて面白い。

縛られていないのではなくて、縛りきれず。
芝居という世界の中で、粋を忘れずに生きた若山富三郎とその弟の話。

「俺、勝新太郎」も文庫版で出ているので、これも読むと更にこの兄弟の魅力に
憑依されてしまうと思います。

勝新太郎は、しばしば「天才」や「破天荒」といわれるけど、計算をしない男だったと思う。
長嶋茂雄に似た、感性や感覚で物事を他者が見ても、
結果として完璧に昇華する秀でた才能だと思う。
理論付けよりも「こうなんだ」と言ってしまいそうな気がする。

本を読んでるだけで、かどわかされてしまう。

お金というモノに翻弄されながらも、お金に執着しない姿勢は、
もはや現代の人間には不可能な所業だと思うところだと。

数多のフィルムに出演しながらも、万人のスターでは無いことの寂しさを感じるよりも、
足かせの無い自由奔放さとその威風堂々たるエピソードは、男が愛したくなる生き方。

「慕われる、慕う」という気持ちを考えなくても知っている男になりたい。
そのヒントが、この中にはある気がしています。


内田裕也は、そのうち買いに行きます(笑


nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 4

FUCKINTOSH66

最高だなぁ〜♪
しぇけなべいべぇ〜
by FUCKINTOSH66 (2009-02-01 03:31) 

ルースターズ

>ZINさまぁ。
買って来ました、読んでるぜぇ。
しぇけなべいべぇ〜
by ルースターズ (2009-02-01 11:35) 

ぺん獣

3冊とも大好きです!
面白すぎますよね
by ぺん獣 (2010-10-23 10:19) 

ルースターズ

>ぺん獣様
そんな新伍さまも最後は誤嚥性肺炎。
せつなすぎる。
by ルースターズ (2010-12-02 22:44) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。