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横尾忠則 「冒険王」 @世田谷美術館 [君にARTを!]

突き抜ける青空。
コニーアイランドで買ったピンクのTシャツを着て。

スクーター上々。
6月14日土曜日昼下がり。
環八を久しぶりに通る。
行く先は世田谷美術館。

横尾忠則「冒険王」」を覗きに。
少し足を伸ばすには丁度いい。
少し疲れてたから余計に。

PA0_0160.JPG

いつか、そう7年前ぐらいに訪れたことのある場所。
砧公園。
あの立派な桜を眺めることもなく。
いそいそと美術館に入る。
盛況。

昔の絵コンテに関しては、横尾以外の何者でもない。
横尾でしかない。
もう高倉健に関しては芸術の域を超えてる。

正直に言ってしまえば。
久しぶりに芸術家の作品展を見た面持ち。

1人で全てが完結する作品はその人の血であり、地。
誰かの手助けを得ずに、自分で1から10まで進む作品が好き。

横尾忠則はいつの間にか、デザイナーを引退していた。
受注の仕事を請けないというのは、非常に革新的で。
受注された物を横尾色に染めて、それが横尾忠則の仕事の縁からの通説。

あの色使いにあのコンテ。
枠を与えられながらも、当たり前に逸脱し当たり前に、染めながら。
出来上がったものは、横尾忠則が全面に出てしまい、肝心を食う。
それぐらい、見たもの全てに強烈な印象を残すのが横尾忠則。

事実、ボクも20歳ぐらいに横尾忠則の作品をみてからというもの。
あのアバンギャルドな色使いに心病んでる一人でもある。

PA0_0158.JPG

今回の横尾展。
特筆すべきは、絵画が多いということ。

引退をしてからは、自由に創作活動を行う主眼。
コラージュも絵画も世界を表現する手段に過ぎず。
全ての奇異な設計図は横尾自身の頭の中にあり。
その設計図を形にする作業が、様々な手法であるだけのこと。

正直に言えば、あのY字路に関しては震えた。
Y字路って何気ないけどすごい。
行き様によっては、まったく違う場所に行くし。
また同じ道に交わることだってある。

そういう分岐はどちらかというとT字路よりY字路がいい。

だって、少なくても直線ならば、左右確認してどっちを進むか景色を選べる。

Tなら一歩進んでも振り返り、景色を引き返せるが。
Y字ならもはや比較のしようがない。
一歩進んだら、もう片方の景色は見えないのだから。

当たり前な道程でも。
非常に考えさせられた。

意図した場所とは違うかもしれないが。
その意図を勝手に読んでは。
勝手に感動したりした。

Y字路以外でも、少年のシリーズは。
往年のコラージュにも似た構図の中で、既存に無い物を筆で創造する世界。

既存の物を既成せず。
新しい形を生み出す魔法。
魔術師にも近い横尾忠則の仕事。

圧巻は2007年のY字路作品の3点。
Y字路の良いところも、少年のシリーズのいいところも含めた秀稚児。
しばし、この3枚から動けなくなってしまった。

絵コンテの構図から生み出される、作品はまさに時代の鏡だったし。
横尾忠則の仕事は、昭和の時代の部分だったと言えると思う。

古き良きの一番良い欠片が横尾忠則の作品に散らばり、舞っている。
帰りには、翌日の最終日を待たずして。
図録は売り切れとなっていた。

PA0_0187.JPG

土曜日の昼下がり。
列を成してる人々には、この作品の群れをどう映ったのだろう。
ボクは随分と刺激を貰った気がします。
昭和の匂いの充満。満喫。
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コメント 4

TBM

兵庫で始まっているんで、早く行きたいと思ってます。
2007年のY字路、兵庫でも展示されているかな?
気になります!
by TBM (2008-07-06 01:06) 

junper

この記事読んでY字路の絵を見たくなって検索したら、ほぼ日にいっぱい出てますね。
しかしなんだろ、この不安な感じは。
そういえば、思い出してみると近所にあったY字路、三角コーナーにはお墓があったように記憶しています(笑)。
by junper (2008-07-06 10:02) 

ルースターズ

>TBM様
始まってますね!次は関西!と告知がありましたし。
是非是非!!

2007年のY字路。
順路が同じならば、最後にあります。

「思い出劇場」
「良寛と進駐軍のいる風景」
「文明と文化の衝突」ってヤツです・・・・・。

今見ても、あらこんなとこにって思えてしまいます。
日々発見の狂作家。
by ルースターズ (2008-07-06 11:40) 

ルースターズ

>junper様
お久しぶりです♪

なんでしょうね。
あの色使いもあるんですが。
幸せなY字路じゃないんです。

そうなると、Y字路自体が幸せな存在じゃないんじゃないかって?
よくよく考えると、分岐というのは、DEAD OR ALIVEが
多いやって。
どっちもHAPPYだったら選択する意味がないし(笑

そういう意味で、迷い悩み。
苦しむ場所なのかもなって。
改めてそう思います。

そこにお墓とはなんだかな(笑
by ルースターズ (2008-07-06 11:47) 

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