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近田春夫&ハルヲフォン 「電撃的東京」 [君にR&Rを!(日本)]

編曲って天才の仕事だと思います。
編曲の良し悪しは、その楽曲のすべての輪郭を決めてくれますから。
先日、マッチ(今はMATCHY)の「ためいきロ・カ・ビ・リー」を買ったんですが、
知ってる方は周知のとおり、まったくロカビリーじゃありません。
でも作詞は松本隆、作曲は筒美京平と80年代歌謡曲の王道の2人。
この2人であっても、この曲がアングラまで突き刺さらないのは1つ。
編曲の仕事。
これがこのタイトル通りゴッテゴテのロカビリーにしようもんなら、
完璧すぎる仕事だったんだろうなと、悔やむ反面このお粗末な仕事に
ガッカリを通り越して、LOVEな気分になってしまう自分が悔しい。
家で聞く分には、大爆発。

とまぁ、少し前にLo-Fi姉さんとこで読んだ近田春夫&ハルヲファンの「電撃的東京」 1978年。
カバーアルバム。
しかしながら、78年以前のカバーになる訳で。
この1978年はボクの生まれた年。
知るわけ無いんです、カバーと言っても。
ただ、この編曲の近田春夫の仕事は圧巻というか、天才です。

結論から言うと、なぜ今まで聴きもしなかったのだろうと、笑えるくらいキュート。
しかしながら巧妙な罠が幾つもあります。
これがまた秀逸ではまってるにも関わらず、はまってる気がしません。
罠と言うのは嘘と同じでそれが嘘だとわかるまでは嘘じゃないんですよね。
だから、はまりっぱなしでいい。
そんな気分にすらなってしまう。

当時の近田春夫の仕事は、ニューウェーブでありながら歌謡曲を挑発して、
商業ベースも踏んでても、結果その才能と作品と裏腹に表舞台での大爆発には
ならなかったわけで。
このアプローチの想像は、正直今でも凄いと思うわけで。
これだけの高い完成度を誇りながら、歌謡曲の枠組みをはみ出した完全なこの音と
カバーのセンスは、この時代でも群を抜いてると思う。

1978年はPUNKの夜明け前。
この後の近田春夫は更に猛烈な挑戦と挑発を繰り返すわけだから、
近田春夫という人も、また夜明け前だったわけで。
それがコレというならば、一体どんな末路なのかというのは、
覚悟して聞かなくちゃいけないと思うようになれました。

いずれにせよ、逢えてよかった。
この近田春夫を知っているのと知らないとじゃ、随分と価値観が変わる気がする。
ボクの尺度だけど。
凄いな、本当に。
「恋のTPO」なんて普通じゃない。
なんだこの展開。
こんなん聞いたことないです。
この声でこの演奏。
反則超えて、卑怯。

カバーアルバムとしては、極上過ぎます。
オリジナルを聞く気にもならないカバーアルバムは初めてです。
これで完成。
ここで完成。
なら道程は、振り返りません。
必要が無いのかもしれません。

凄すぎて、聞き倒してしまう。
姉さんの言う、ウキウキ電流が通電してビリビリしちゃいました。


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コメント 10

ビリビリきましたか。
「恋のTPO」はしびれるね〜。
by (2008-02-07 23:52) 

TBM

近田さん、好きですね。
最近は、タモリ倶楽部くらいでしか見れませんが(笑)。
ハルヲフォンは生で観たかったです。
LIVEで観たのは、ビブラのみですね。
刺激的だったな...
あっ、↑ファンになってます。
by TBM (2008-02-08 00:15) 

はーく

近田春夫といえば空耳アワーと明星のヤンソンが浮かんでしまう私ですが、面白いものを紹介していただいてありがとうございます。レディハリケーンにもちょっとヤラレました。POLYSICSを彷彿とさせるような出で立ちにも…。

CKBの剣さんが「まっぴらロック」について「○○ロック」と付くものは大抵ロックじゃなかったのでそういう曲を作った、と言っていたことがありますが、「○○ロカビリー」なんかも同類ですかね(笑)
by はーく (2008-02-08 00:47) 

ルースターズ

>Lo-Fi様
いっすね。危険っすね。
ソロが聞きたい。
by ルースターズ (2008-02-08 12:31) 

ルースターズ

>TBM様
ビブラトーンズでしたっけ?
それも知らない。
というか正々堂々タイトルを間違えるって(笑
あほです、あほ(笑

すんません、時々あります。こんなん。
所詮初めて聞いた人間のたわごとですからご容赦を(笑
by ルースターズ (2008-02-08 12:32) 

ルースターズ

>はーく様
ポリシックスよりも、CRAZYだな(笑
レディハリケーン素敵でしたね。
かなーり。

同類でしょうね。
ホネホネロックはロックだと思うけど(笑
by ルースターズ (2008-02-08 12:35) 

ローリー

♪ああああ〜レディバスボン・・・♪
世代的に近田春夫の仕事=このシャンプーのCMかな〜w
by ローリー (2008-02-08 23:39) 

ルースターズ

>ローリー兄貴
・・・・・ジェネレーションギャップ!!!(笑
by ルースターズ (2008-02-10 14:53) 

都市色

こんばんは。
最高ですね、ハルヲフォン。
近田さんの名著『気分は歌謡曲』(1979年:雄閣山出版)によると「どの曲も同じ風に聞こえるようにしたいというので、全曲ドラムとベースのパターンを同じにしたというわけ」とのコト。
「恋のTPO」はクレイジーキャッツの「ハイそれまでヨ」ですね。
「ハルヲフォンレコード」も好きです。
by 都市色 (2008-02-10 18:37) 

ルースターズ

>都市色様
>どの曲も同じ風に聞こえるようにしたい
凄い。あえてJ-POPを逆手に取ってる(笑

確信犯かぁ。
って気づかなかった(苦笑

近田春夫さんの仕事は危険ですね。
ザ・ボンチのも今日買おうと思って試聴一応したんですが、
鈴木慶一と近田春夫がいて、これかーい!と卒倒しましたが、
この2人が本当に遊んでるから、あーなるんでしょうね(笑
紹介文は一言「ロックンロール!」って書いてありましたが、
ボク的にはROLLしてない(笑

結局買いませんでした。
度が過ぎる!とカツオくんを怒る波平さんの気持ちでした(笑
by ルースターズ (2008-02-11 19:05) 

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