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「誰も知らない」 是枝裕和監督 [君にMOVIEを!]

最近は少し大人になった柳楽優弥。

世界の絶賛を目の当たりにしてはいましたが、久しぶりに美しい映画を観ました。
そんな心地です。
今まで見なかったのは、映画の2時間が結局惜しくなってしまう衝動が残るから。
そんなこともあり、DVDすら観ない日々・・・・・。

でも、ただただ美しかったのは。
柳楽優弥という、赤く美しい血の通った軸を通して、物語が生まれ。
決して、おざなりにせずに物語が綺麗に円を描く。
基点と終点が必ず存在していて。
その点は、円となり必ず元通りに。
その円が、幾重にも人間との交錯で重なり合い、美しい球が生まれていくのがわかる。

ラストばかりを気にしてしまう、自分の映画の見方の浅はかさを感じた。
映画のラスト。
優しく繋いだ手を離されたような感覚になったのも、美しい球ができあがった瞬間だったような。
そんな気持にもなる。

母の現金書留。
ここに込められた美しすぎる交錯の果て。
こんなにも綺麗な想いの決結に、言葉が出ない。
あの1カットで、幾つもの葛藤が一瞬で晴れる。

空を飛ぶ飛行機。
ここに何を込めて、何を映すのか。

下準備が万端な背景設定から、1人の男の子の目から。フィルムが回り。
騒がず、焦らず、淡淡と物語を歩み、そして優しく離す。

こんなに美しいフィルムを映画館で見なかったことを後悔すると同時に、
今見れたことを幸せに想う。

その後のことは気にならず、
その後のことを自分の中で描こうなどという曖昧さや思考の交錯・憶測は無く。

様々な伏線の後、どこに結ばれ戻るのか。
そんな漂流生活の最終漂着点は、見当たらない。
漂流とは、行く先が見当たらないから漂流というわけで。

ただただ、優しく離された気持ちがこうやって、言葉を書いていても、
いつまで残るフィルムを観たのは、初めてのことです・・・・。


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コメント 8

やぐら?やぎら?未だにどっちかわかりません。
彼といったらこの作品を思い出します。最近すごく大人っぽくなりましたよね。「シュガー&スパイス」のCM見たときは同一人物だとは思えませんでした・・。
by (2006-11-29 17:00) 

むうさん

成長を見守っていきたい俳優ですね。
by むうさん (2006-11-29 19:20) 

kurohani

何故かタイ旅行した時にバンコクで約100円で観ました(笑)柳楽君が素晴らしかったですね。周りのタイ人の方々も泣いてたのが印象的でした。
by kurohani (2006-11-29 22:25) 

ルースターズ

>アコ様
男はすぐに大人の顔になっていきますね。
ヤギラくんですね。
この映画だけは、うん。そんな気持です。
最初が是枝監督と言うのも、彼の天命かもしれないですね。
by ルースターズ (2006-11-29 22:31) 

ルースターズ

>むうさん様
なんてたって、好きな俳優お塩学ですしね。
好きな歌手:エミネム、アヴリル・ラヴィーン。
もう、見守らないといなくなってしまいそうで・・・(笑
by ルースターズ (2006-11-29 22:35) 

ルースターズ

>kurohani様
あれっすよ、「星になった少年」がタイと関係があったからじゃないっすか?
なんだろ、こんなんにも出てたよ的な。
それにしても、やってたことよりも、
わざわざタイで見ようとしたkurohaniさんの方が僕的には
「なぜ?」って感じですがね(笑
by ルースターズ (2006-11-29 22:40) 

カエル女

私もこの映画を映画館で見なかったことに激しく後悔した一人です。
あの淡々とした日常から私は目が離せませんでした。
是枝監督の映画は1個おきにすばらしい!と勝手に思っています。
by カエル女 (2006-12-15 17:25) 

ルースターズ

>キャエル
舐めてましたよ。
あの日常が流れる空気。
隙間なく巡る思考。
自分が想像してこうならいいなという伏線が、見事に戻ってくる。
それも、想像通りじゃなくて。

素晴らしい映画でした。フィルムの魔法。
by ルースターズ (2006-12-16 10:21) 

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