SSブログ

ジャックス 「ジャックスのすべて」 [君にR&Rを!(日本)]

深い深い闇の底。
声も音も聴こえない真っ暗闇の世界。
からっぽの世界。

自殺した中学生の話ばかりが、スピーカーから。
15歳もいかない人間が、底辺に沈む気持ち。
「遺書」を人間としての最期の業とし、人間を止めてしまうことの狂乱。

そこまで1人の人間を沈めてるのも、また人間という悪魔の連鎖。
永井豪の「デビルマン」にも似た連鎖は日常に存在していること。
暴力。
言葉の暴力。
音楽の暴力を感じたことがありますか?

中途半端な気持ちで底を覗くと、逆に気持ちが沈む感覚に陥る世界。
それが現実になる世界。
言葉にすることですらの躊躇を、音と抱き合わせた表現の情念の形。

「ジャックスのすべて」

史上、ここまでの憎念と完結で簡潔な言葉の想像。
中途半端に開くことの許されない奥深い井戸の底蓋。
沼の底。
そこに繋がる世界を覗いた瞬間に花開く感情。

汚泥に塗れた心の中に咲く蓮の花の美しさにも似た、己を解放する心。
不条理だとしても公平を欠いたとしても選択肢は1つに向かう。

無意味に足掻き花びらを散らすならば、そのまま沈むことを選択するのか?と、
スピーカーから流れるニュースを想いながら。
ジャックスに針を落とすと、少し現実世界と自分の考えがシンクロしている気持ちにもなる。

15歳にもならない子に「「ジャックス」を聴いてみな」など、口が裂けてもいえないが。
奥底に眠るやり場の無い怒りや情けなさを贖うならば。
ジャックスを開いてみたら。
何か答えがみつかりそうな気もする。

優しくも無く。
元気な言葉で勇気を貰うなんてチープな感情なんて、どこにも咲かない。
「皆、1人じゃない」「信じることで、~」なんて、
綺麗事は生ゴミより利用価値の無い言葉だと笑いたくなるような絶望の淵に立つ心境ならば、
それは君が立っている場所だと。
それを簡単に証明する音。

そう想う僕もまた、「いじめ」と呼ばれる連鎖の被害者であり加害者だったりするもので。
この類に巻き込まれず、学校と言うシステムを泳いで来た人間の方が少ないはず。

他者を飲み込む怨念憎念。
そして感情の起伏を、ナイフに込めず。
音に突き刺して。
そして、瞬間を思春期を刺し殺してみて欲しい。

自分にナイフを突き刺さず。
誰かにナイフを突き刺さず。
音に声にナイフを突き立てて。

そこに籠る言葉を生んでみて欲しい。
あの頃、早川義夫が生んだこのジャックスの音よりも、壮絶な言葉を生んでみて。

そして、この虚飾で嘘に塗れたインターネットの世界に唾と泥を吐けばいい。
そして、賞賛を受けなさい。

リアルな言葉ではなく。
そのリアルを擬態化し尚、「生きる言葉」として僕を殺してみて欲しい。

嘘ばっかりの世界から、からっぽの世界へ。

死ぬ事よりも、生きて。
死ねと言われても生きて。
そして、吐き出す言葉で殺してみせてほしい。
学校も同級生も、そして先生も。

システムを殺す言葉を吐き出し、反逆者となり大人へ。
少し大きくなったら、早川義夫とジャックスの意味がわかるから。

そしたら、社会を嘲け笑って生きればいい。

死ぬ事より、生きる事の方が簡単で大変。
意識飛ばす前に、命を断ち切る前にジャックスを超える言葉を吐き出せ。

大丈夫。
ちょっとやそっとやジャックスの世界も奇蹟を越えられない。
結局は、死ねないのさ。

日本の数多くの先生。
優しい言葉が、人間を救うとは限らないのです。

絶望を知らない人間が、絶望の淵にいる人間を救えるわけがなかろうが。
いじめられたことの無い人間が、いじめられた人間の気持ちが分かるわけがないだろうが。

大学を出て。
あんな履修ごときで、学校の先生になれる現実を知った時は、
先生って大した生き物じゃないなと心底想いました。
本当に大した生き物じゃない。

しかしながら。
最後にこれだけは。
僕より幼き悩める人へ。

自分で自分を殺す大罪は、世界で最も必要の無い最大級の罪名であり殺人罪。

君を救えなかった悲しみは、再び負の連鎖として続く。
周りの人間は、無意味で悪夢に落ちるだけなのです。
救われたのは君の心だけであって。(結局は、断絶しただけかもしれないが。)
それと引き換えに、君は多くの心を道連れにします。
しかしながら、切迫したバンビにそんな言葉が届くわけはないわな。
その場所が、彼らと現実世界との国境なんだと想うから。


nice!(9)  コメント(14)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 9

コメント 14

TBM

素晴らしいレコードをお持ちですね。
私は、再発盤しか持ってないのです。
さて、教養のない人が教育する側にいるという、日本はおかしな国です。
自分の立場を守るために、教育を放棄して予備校化しているのだから。
人の気持ちなどわかるわけもなく...
さてさて、その昔、早川さんがソロで復活する数年前、
早川さんに会いたくて早川書店に行ったことを思い出しました。
緊張して、たいして話もできず、つげ義春の本を数冊買って帰りました。
by TBM (2006-11-01 23:21) 

1hime3taro1wanko

あなたの言葉は
優しさだけを詰め込んで自分の子供をギブアップ寸前にした
アタシの脳天を貫きます。

親に捨てられ、施設で心に傷を負った『仲間』に毎晩浴槽に沈められ、失意の底でギターを手に取り音楽と出合った少年は父となり、12歳になった息子を初めてぶっとばしました。
強くなれ、こどもたちよ!
by 1hime3taro1wanko (2006-11-02 11:36) 

まさ

僕がジャックスをはじめて聴いたのは確か15才のときです。
その歌は、当時好きで良く聴いていたラジオから前触れもなく
突然流れてきました。

どろどろした音にどろどろした声。
その「からっぽの世界」を聴いて、トイレに行けなくなるくらい
怖かったのだけは憶えています。

この歌の頃20ですからね、早川さんは。

早川さんの言葉には、いつもはっとさせられます。
そろそろ齢60に差し掛かる筈ですが、
これほどまでにあの頃のような気持ちのままで
いる人もいないんじゃないでしょうか。
余りにも真っ直ぐ過ぎて、衒いがなさ過ぎて、
時折どうしたらいいのかわからなくなります。
それはもう、直視できないくらいに。

言葉の凄さを再認識させてくれる数少ない人です、彼は。
by まさ (2006-11-02 19:58) 

もく☆

こんばんは。
ニュースをみていると胸の痛くなることが多いですね。
周りの人たちのことを考えると気の毒でならないし、
もちろん当の本人もどんなにか辛かったでしょうと悲しいです。
わたしも昔は学生でしたから、
あの複雑な学校という場所のことは少しはわかります。
ちょっとした生き残りゲームみたいな。
その中がすべてになってしまっている学生という身分の人たち。
学校がすべてじゃないって、逃げてもいいんだよって言っても
やっぱりその言葉は届かないのでしょうね。
by もく☆ (2006-11-02 22:19) 

ルースターズ

>TBM様
人の温度がわかる人間が少ない中、思春期を過ごす人間には、
その温度の大切さこそが、勉学より重要で。
先生というかつて、聖職と呼ばれた領域は、確実のその質と温度差が
如実に出ていて。

僕が学校という中にいたころから、大して変わっていないと想うんですが・・。
最近、教職課程を希望する若者と出会う機会が多いですが。
年間20人は出会うであろう若者。
僕的には1人として、人として温度の厚さを感じる人がいない現状です。

君たちにこれからの未来を生き抜く子供たちに背中を見せられるのか?!
と想います。
大人の水先案内人が、最も未熟な現実。
テレビでギャースカワースカやってる場合じゃねぇーだろ。と笑ってみます。

ジャックス。
再発でほとんど買いましたが、これだけはなぜか当時盤ですね(笑
えらく安く買えて。
んで、ドキドキして針を落して。
ボッコーン凹みました(笑)三上寛かジャックスか。
by ルースターズ (2006-11-03 10:03) 

ルースターズ

>DASHわんわん様
世界で一番優しいのが親であって欲しいと想うから。
虐待のニュースとか、人間の底辺の話だなと想うのです。

児童養護施設。
僕は何度か行った事があるんですがね。
僕が知っている子供たちは、いい眼をしてます。
そこに携わる大好きな女性がいらっしゃるのですが。いつもは優しいのに。
時々の母にも似た顔がとても印象深くて。
昭和初期の女性の匂いがします。齢70を越えた方ですが。

その方のお陰で、養護施設の在り方を考えるようになっています。
先生と同じで、もしくはそれ以上で。
施設の質で、職員の質で。
子供たちの負担になるようなことだけは、死ぬほどくだらないと想います。
「なんとかしろや!」と想うナンバー1に入る思案です。
浅はかな20代中盤の人間の好奇心で、
これから咲く花の一生の糧になるんですから。
「死ぬ気でいきやがれ!」と想うのです。

そうですか。
施設で育った子供たちが誰よりも強い信念の下、
誰よりも違う思いの中、生きてきたのだから。
それを糧として、素敵な人になってくれることを心から願ってる人間の1人です。

そこいらのガキよりも、いい眼をしているのが、本当に印象的でした。
by ルースターズ (2006-11-03 10:32) 

ルースターズ

>まさ様
本当にこういう言葉の発想であったり。
また思いついた感情を言葉に起こしながら。
それが人間の意識に染み付くような言葉と音の紡ぎは、美しくさえあります。

こういうところに触れると。
日本語の表現の豊かさと美しさを感じます。

真っ直ぐすぎるからこそ。
途中で愛した音楽も置く事が出来るのかもしれないですね・・・・。

表現は美しい。
言葉の表現は美しい。
憎念であったり憎悪を言葉に紡ぐ美しさは、愛を語るより美しいと想います。
by ルースターズ (2006-11-03 10:38) 

ルースターズ

>もく☆様
先生に相談するほど、素敵な先生はほとんどいないだろうけど。

学校に行きたくないとも言い出せない。
親に心配をさせたくない。

そんなことすら言い出せない親の家族の博愛ってどうなのよ?!って
思うのです。
隙間ない博愛はどうなのよ?って。
逃げる事も出来ない。
行く事も辛いとか。
想像したくないですよね。

たかが学校じゃん。
たかが同級生じゃん。

大切なものって学校に転がってるけど。でもみんなに転がってるわけじゃない。
だから、全員が学校に行く必要ないんじゃない?って思うんです。
自分が学校を拒否して、勉学が遅れたりだとか。
社会に出て人間関係に大いに悩んだりとか。
でも、齢10代に自分が決断したことに責任を持てばいいわけだし。
死ぬことは責任の取り方ではないとは思うのですが。

いじめてるやつなんか、なーんも考えてない。
恐ろしいくらいなんも考えてない。
だからいじめる。そういう摂理じゃないっすかね。
気に入らないという想いから、手を出し日常に溶ける。
その日常を周りが黙認したりだとか。
先生が知らないフリしたりだとか。
そんなループが繰り返すんだから。

最大3年という時間も我慢できるようなもんじゃなくなってしまうんだろうけど。
死ぬくらいなら逃げろ。
逃げまくれ。と想いますよ、僕も。
by ルースターズ (2006-11-03 10:47) 

記事・皆さんのコメント共々かなり考えさせられました。言葉足らずで申し訳ないんですが「いじめ」って本当にくだらないことだと思います。いじめを楽しんでいる人間はそれだけしか脳がないバカだし、いじめられた人が苦しみから逃れるために自殺しか考えられないのは想像(創造)力が乏しいんじゃないかなぁと思います。
「一時の苦しみに捕らわれるよりも「一生を生きる」という長い目で見る」私が苦しかった時この言葉と音楽に救われました。今も人間関係で嫌なことがあっても私は自殺する気はさらさらありません。この先ずっと良い音楽が、出会いが絶対生まれるって信じてます。
いじめに悩む人にこの記事を読んで欲しいなと思いました。

長々とすいません・・・・。
by (2006-11-03 21:41) 

山田虫

ジャックス、そして、早川義夫。
この人(たち)の曲に関しては、何も言えません。
好き、なのだけど、そう言ってしまうと単純すぎて。
正直、私には言葉にはできないからです。
でも何かあったとき「足りないのではなくて  何かが多いのだ」という言葉を
ひょいと思い出したり。

子どものいない私にどうこう言える問題ではないと思いつつ。
つらい、と思っているのだったら、そんなところは逃げてしまっていいんだよ、
そう言いたい。でもそう簡単に逃げられるわけもないのもわかってます。
そして、自分が親だったら、きっとなだめすかして
「学校に行け」と諭しそうな気がする。
自分の子どもには、普通に、学校生活をそれなりに楽しんで、
幸せに過ごしている姿だけを見たい、と思う。
これこそが親のエゴなのかもしれないけど。

死んだらおしまいだよ。
君たちが大きくなった時は、もっとすばらしいことが待ってるよ。
素敵な音楽を聴いて、心が揺さぶられたり。
好きな人ができて、初めて手を握ったときの気持ちだったり。
言葉にできないくらい、嬉しいこともあるんだよ。
人生、そうそう捨てたもんじゃないよ。そう伝えたいけど。
…なんですかね、根っからおめでたいヤツの言葉で恥ずかしいんですが。

でもとりあえずこれだけは。
ジャックスの音楽を聴いて、「何か」を感じられる年になるまで。
逃げながらでもいい、絶対生きて下さい。
話はそれからです。
by 山田虫 (2006-11-04 03:46) 

ローリー

答えはどこにあるのかなんて簡単には言えないけれど、俺の場合はR&Rにあった・・・ってとこかな。
”キレイなものはどこかにあるのではなくてあなたの中に眠っているものなんだ。いい人はいいね、素直でいいね、キレイと思う心がキレイなのさ”
(「この世で一番キレイなもの」早川義夫)
by ローリー (2006-11-04 22:43) 

ルースターズ

>アコ様
ただ、目の前に無心で狡猾で姑息でしかも陰湿で悪質な獣が、
自分の生活のド真ん中である学校という住家にいたのなら。

逃げる隙間が無いなら、己の存在を消す手段を選ぶこともまた
頷ける気持ちもあります、僕には。

たかが3年だけど、永遠に続くと思ってしまうんだと想います。
そうやって追い詰める意識が無い奴等が追い詰めるんだから、
終わりなんて無いんじゃないかとなるのもまた分る気もします。

想像力の隙間すら、生まれない真っ暗の底かもしれませんよ・・・・。
by ルースターズ (2006-11-05 21:53) 

ルースターズ

>山田虫様
言葉のキワキワのラインの中で、的確で確実な言葉だけを、
予めそこにはまることが決まってたかのように、積み上げた音楽は、
音「楽」ではなく、また違うものになってる気もします。
(結局、僕は言葉を知らないから、代替の言葉すら出ませんが(苦笑))

僕もいじめを、まだ見ぬ子供が打ち明けたなら、逃げることより
戦うことを選択しなさいと話すでしょう。
(またいじめに加担したと聞いたら、足腰立たないくらいに、ぶっ飛ばすでしょうが)

それもまた、親のエゴから生まれ、子供を追い詰める一因にも
転じる可能性を忘れてしまったり。

しかしながら、結びの言葉。
凄く素敵です。
>>ジャックスの音楽を聴いて、「何か」を感じられる年になるまで。
>>逃げながらでもいい、絶対生きて下さい。
>>話はそれからです。

ジャックスじゃなくてもいい。
でも嘘ぱちの言葉に感化されず。
ホンモノの言葉に撃ちぬかれて。
あぁ、この選択肢を選ばずに良かったんだなと。
そう想える大人になればいいし、なってほしい。
by ルースターズ (2006-11-05 22:02) 

ルースターズ

>ローリー様
ロックンロールって凄い偉大な言葉ですよ。
でも、中学生に「ロックンロールを信じなよ!」って言っても、
「このおっさん、何言ってんだよ?!」ってなってしまいそうですが(笑)

・・・・・それでも。
「ロックンロールを信じなよ!」
いじめるヤツもいないし、いじめられるヤツもいない。
そんなもんが既に存在しない。
っすよね?ローリーさん(笑)
by ルースターズ (2006-11-05 22:24) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。