山口冨士夫「村八分」

読まなかったわけじゃなくて。
途中から、僕の心のネジがポーンと飛んだ。

３度読んで、最初に読んだ時と気持ちが変わらず。
先日読んだ「中島らも」のお陰で、この本のことを書こうと決心した。

中島らもが、この山口冨士夫の本に寄せて、生前書き下ろし小説を書いている。
それがフィクションなのか、ノンフィクションなのか。
それはどうでもいい。
「ＢＡＮＤ　ＯＦ　ＴＨＥ　ＮＩＧＨＴ」と同じ空間、時間軸に近い形で、「村八分」が転がっている。

冨士夫さんが、話す言葉は、リアルで。
真っ当に生きてきた男の発する言葉の重さを、
半ば道を外した「シラフ」で生きれなかった男の発する言葉の重さを、
「じわり」なんて、生優しくない。

思いっきりハンマーでぶっ叩く言葉の重さ。

嘘なんて、虚飾なんかは存在しないから、あの時代の空気を言葉で表現する。
チャー坊への想い。
村八分への想い。
ＤＲＵＧへの想い。

なんもかんもを呑み込んで、男は生きていた。
一本のギターでメシを食うのもままならない時も。
刑務所で過ごす時も、きっと彼はステージで爪弾くギターのことを想っていたんだと想う。
ギターしか愛せない男。
ギターしか憎まない男。
ギターしか信じない男。
それは、ギターと己を照らし合わせられる、彼自身の生き方。

男の名前は山口冨士夫という。
僕の知りうる限り、「ロックンロール」という生き方を、正々堂々やってのける、
いわば「ロックンローラー」。
この人に憧れて、ようやく手にした「ＢＵＲＳＴ」のインタビュー記事を読んだとき、震えたよ。

そしてこの本を読んだ時も。

＞＞「中島らも　～ねたのよい」からの引用

「おれ、ロックやりたいんです。歌を歌いますから聴いてもらえませんか？」
～中略～
♪朝１０時に起きて　夜は１０時に寝るだけさ　ＯＨ　ＹＥＡＨ♪

冨士夫は微笑を浮かべて、言った。

「ボク、そりゃ寝すぎだよ。眠ってる間に一生終わっちゃうぜ」

それからおれに顔を近づけてささやいた。

「ヴォーカリストにはな、練習は要らない。ギタリストには要るけどな。
　それからついでに言っとくけどさ。
　ロックは音楽じゃないよ。ロックは生き方の話なんだ。」

＞＞

これなんだよね。ボクのＢＬＯＧの真意なのは。
そしてこの本には、そんな話しか載っていない。
たまたま、彼はギタリストで。
たまたま、バカなくらい純粋だっただけ。

この本を手放すときは、僕には無い。
山口冨士夫という人を知っていますか？
日本という国において、こんなにも凄まじい男がいるのです。

今日、本屋で「ＳＩＧＨＴ」が売っていた。
「これを聴かずして、ロックを語るな！」という感じだった。
ボクは手にとろうとして、止めた。

冨士夫さんが言ってた事は、そういうことじゃないって。
ボクが信じてることは、この雑誌には存在しないって。

「村八分」山口冨士夫

あまりにも、純粋すぎた男の辿った道は、決して平坦ではなく、
曲がり道、迷い道を繰り返し。それでも尚、彼は生きている。

彼と久しぶりに逢いたい。
ブルースを歌う彼を、彼が爪弾くギターを。

彼の軌跡。
喜びや悲しみの隙間は一切ない。
でも彼は、今もギターを弾いている。

コメント 38

あ～。
この本まだ買ってないや…初版分はもう在庫分はなく、店頭分のみとの噂です。まだまだ日本も大丈夫か（笑）？

ダメだっ！

ではでは。
by hanao (2006-01-06 00:39) 

あのっ。
山口冨士夫さん今レゲエやってますよね。
この記事見て村八分の試聴を探し続けましたが
なくってブチ当たったのがドレッドロックの山口冨士夫さん。

中島らもの引用のとこいいわ～。
＞ロックは音楽じゃないよ。ロックは生き方の話なんだ
ここいいわ～。
by cochan (2006-01-06 16:31) 

聴いたことないんですが、素敵で震えのくる話。私の信じているものは、私の愛しているものかな？ちょっと、頬をはられた感じです。
by スパイダー (2006-01-06 17:25) 

＞ｈａｎａｏ兄
なぜ？！買ってないの？！
絶対買ったほうが良いです。鬼薦めます。
中古探すのは、骨ですよ。きっと。

レコードジャンキーなのに・・・・ダメだっ！！！（笑）
by ルースターズ (2006-01-06 21:09) 

＞ｃｏｃｈａｎ
そりゃー、ＴＥＡＲ　ＤＲＯＰＳだわさ。
冨士夫ちゃんが、自分で作って、自分でブッ壊したイカシタＲ＆Ｒを奏でた、
バンドでございます。あん頃は、ドレッドでした。
最高にカッコイイ画像だったんでない？（苦笑）

頭がドレッドでもギターが変わっても、山口冨士夫は山口冨士夫。
山口冨士夫と書いて、「ＲＯＣＫ＆ＲＯＬＬ」
これ不変。

ちなみに、僕はＰＣ環境が悪いんで観れないっすけど、ここにサンプル
↓
http://www.eurus.dti.ne.jp/~goodlov/
by ルースターズ (2006-01-06 21:53) 

＞スパイダー様
言うなれば、僕はどうしてこの人が言わんとしてることが、
大枠でもわかるのだろうと、不思議です。
そういう生き方を辿ってきたことが、凄く誇らしく思います。
おぉー！間違ってないかもって。

僕は、頭をなでられた気分。
んで、タバコを貰って、火までつけてもらった気分。
そういう気持ちも貰った本。
「間違ってねぇーじゃん！」って思ったこと間違いなし。
by ルースターズ (2006-01-06 21:56) 

みたみたみたーー☆
「あっ！」という曲で山口冨士夫がけっこうUPに
なりますが、めちゃくちゃかっこいい☆顔から太もも
までもろ好みです。かなりドラッグやってるっぽ。
ギターも凄い気持ちいい。

NHKに嫌われちゃったバンドなんだってねー。
メンバー全員、映像ではボーカルばっかやけど
かっこええ。髪型が最高。ポスター欲しいよ。
ポストk－ド欲しい。

有り難うねー
今年もがんがん行くで～☆
by cochan (2006-01-07 01:50) 

TBしましま☆
by cochan (2006-01-07 04:33) 

>COCHAN
http://blog.so-net.ne.jp/roosters/2005-01-05
by ルースターズ (2006-01-07 10:42) 

訂正終了だよ
酔ってるからさ、よくわからないんだけど
多分大丈夫だよ。
それからアンソニーはミルクとシュガーは２杯。
糖尿病になるから一杯にしろよっって殴るんだけど
聞かないのよ。アンソニーも村八分写真みて
めちゃくちゃスゲーかっこいいって言ってるよ。
当たり前じゃんね
by cochan (2006-01-07 11:17) 

＞ｃｏｃｈａｎ
素晴らしいでしょ（笑）もうボクにとっては、ヒーローです。
昔は、ダイナマイツというＧＳバンドをやらされ、その後の変遷は
今と変わらず、かっ飛んでます。
このダイナマイツもまた素晴らしい。

ＮＨＫどころか、ここまで映像がないのもね・・・。

アンソニーかっけーなー。
今朝なら、冨士夫よりアンソニー。
「コーヒーは好きかな。ミルクやシュガーはいるかな？どうかな？」（笑）
by ルースターズ (2006-01-07 11:20) 

＞ｃｏｃｈａｎ
日本もまだまだイケるぜー！ってことっすかね（笑）
訂正？なんのこと（笑）
コメント消去つぎはぎ。
ｃｏｃｈａｎは、最初から間違ってなんてなかったってことさ。

ＷＯＷ！ロケンロー！
でも、今はＤＯＯＲＳ聴いてるけどね（笑）
by ルースターズ (2006-01-07 11:22) 

ああ。
なんならTBも消してよ。
やりなおさせてくれ

アンソニーがすげー喜んでるんだけど
by cochan (2006-01-07 11:29) 

冨士夫さん以外、ローリングストーンズってくらいCOOL
冨士夫さんはローリングストーンズを超えて
COOLですげー新しいなって。

７０年代のDVD見ての感想なんだけど
by cochan (2006-01-07 11:34) 

>COCHAN
とっーても嬉しいＴＢでした。
ボクの価値観が、受け入れられて、して、記事という形で
現してくれたこと。とっても光栄だし、嬉しいのです。
けーさーなーい（笑
by ルースターズ (2006-01-07 11:56) 

＞ｃｏｃｈａｎ
特にボーカルのチャー坊は、７０年代ストーンズを生で体感。
とにかく滅茶苦茶に生きてきた男です。
逝ってしまいましたが・・・・。

都市伝説で、「Get Yer Ya-Ya's Out / The Rolling Stones」の
「かっちょいい！」という声はチャー坊だと言う噂もあるくらいです（笑）

ストーンズよりかっこいいのは当たり前。
なぜなら、それが村八分（笑）
by ルースターズ (2006-01-07 12:14) 

ルースターズさん
色々と有り難うね。
とにかく今日は村八分でした。
アンソニーに日本をみせつけて本当に
嬉しかった。楽しかった。２００６年の幕開けだっ
by cochan (2006-01-07 13:33) 

こちゃんのとこでみて、こっちに飛んできちった（ｗ
るーすたーずくんとこに来るとめんたい熱再燃かな～
でも、家出(笑）先なので音源がない～（泣
にこらは柴山が好きだぞ！だめ？
by nicola (2006-01-07 15:49) 

やぁ。あけおめx
今度、シナロケのLIVE盤『キャプテンギター＆ベイビーロック』
聴いて見てチョ。
冨士夫ちゃんとマコッちゃんのギターバトルに痺れるから。
知ってたらメンゴ。
by dropkick (2006-01-08 12:16) 

すげ～コノ本読んで見たいです！
ティアドロップスやシナロケのライブでしか体験したことがありませんが
ボスとは違った生き方としてのロックを教えてもらったバンドマンであり
ギタリストだと今も思っております。
２０代の頃一度お話をしたことがありますが
笑顔がサイコーにイカシてた思い出があります。
by 魚河岸おじさん (2006-01-08 17:48) 

昨年買ってCDのほうは聞いたけど、まだ読んでない．．．
一気に読むぞ。
by TBM (2006-01-09 00:31) 

＞こちゃん
いえいえ、楽しかったよ（笑）
ボクもやっぱり、このバンドはすげぇーと再確認しました。

かっこいいほうのポスター、先輩におねだり中です。
あの人本当にくれんのかな？（笑
by ルースターズ (2006-01-09 10:15) 

＞にこら様
初めて、聴いた時の衝撃忘れられない。
サンハウス。
とりあえず、一通りレコードは持ってます。
当然、すんげぇー好きです。サンハウス。

去年の今ごろ、書いた記事です。
サンハウスも今なら、もっと気の利いた文章に直せそうです。
今度波が来たら、素直に乗ろうかと思います（笑）待ってて（笑）
http://blog.so-net.ne.jp/roosters/2005-01-02
by ルースターズ (2006-01-09 10:18) 

＞テツヤ兄貴
持ってますよー！！いやぁ、痺れますね。
アナログを開くと、冨士夫ちゃんが・・・・・。
ギャラードも買いましたが、やっぱりライブ盤の方が全然。

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくっす。
by ルースターズ (2006-01-09 10:28) 

＞魚河岸おじさん 様
そうっすよ！清志郎好きな魚河岸おじさんは見ないと。
毎回ＦＵＪＩでは清志郎を眺める冨士夫さんと出会えます（笑）
付録のＣＤも内容はＢＯＸと被ってますが、珠玉です！！
是非！急がないとー！！（笑）
by ルースターズ (2006-01-09 11:02) 

＞ＴＢＭ様
一気に！呼吸も忘れて一気に！！！
とにかく、読んでください。
面白くないわけがないのです（笑）
ＲＯＣＫ＆ＲＯＬＬ！！
by ルースターズ (2006-01-09 11:06) 

はじめまして。書き込み失礼いたします。
山口　冨士夫　「村八分」　の感想文、深く共感しました。
たまたま検索しておりまして、こちらのページを発見しました。
先日、ライブ終了後の楽屋にて冨士夫さんにお逢いできました。
眼は力強く鋭い、そして優しい感じの素敵な方でした。
その事を私は生涯、いや、永遠忘れることはないでしょう・・・
私事で恐縮でした。失礼いたします。
by みや (2006-03-02 12:49) 

>みや様
ありがとうございます。冨士夫さんの音楽を知る人なら、
やはりお褒め頂くと素直に嬉しいものでっす。
先日ボクも見ましたよ。
新宿っすよね？素敵でした。それも書いてみました。
お時間あれば・・・。
http://blog.so-net.ne.jp/roosters/2006-02-17
by ルースターズ (2006-03-03 09:59) 

　ああ冨士夫のライブいきたいよおかおお　　オイラ　冨士夫　大好きさ　あんな　　　　かつこいい奴　いないよ本物だよホントすげえよ　今オイ　ラが何とか生きてるの　なんか　冨士夫　がいるから　だもん前はタダの薬中のオイラに生きる勇気もらつた　今は毎日ブルース歌てるぜ　バンドやりてえええよおお　　
by ごみ箱の蓋 (2006-04-22 06:34) 

＞ごみ箱の蓋様
僕も実は２度目の冨士夫さんでした。
やっぱり、年取ったら年取ったなりに、音の重厚な年輪が刻まれてます。
もう素晴らしいです。
久しぶりに前方まで行ってしまったライブでした・・・・。
by ルースターズ (2006-04-24 09:50) 

冨士夫ちゃんのことをいろいろ書いてくれてありがとう。浅田の哲ちゃんのことも書いて欲しかった。村八分は本当に伝説になってしまったのだなあ。伝説の京大西部講堂のライブの時、本番前に冨士夫ちゃんが一人でギターを弾いていた。今でも耳に残っている。ものすごいブルース。
伏見の喫茶店で哲ちゃんは、よくモーニングを食べていた。アイスミルクとジャムトースト。チャーボーはリンゴジュース。（ボクが20の頃）
三条川原町の角に六曜社という喫茶店があった。冨士夫ちゃんがよく顔を出していた。楽しかったな。あの頃、そうそう、ボクもあの頃はギターとマウスハープでブルースマンを気取っていた。気が付けば35年が過ぎた。
by 昔京都いた親父 (2006-09-17 16:44) 

＞昔京都いた親父 様
浅田さんのことは、著書にもよく書かれてました・・・・。
そうですね、スポットを冨士夫さんに当ててたので、申し訳ないです。

凄く素敵なコメントをありがとうございます。
３５年。
僕自身もまだそんなに生きていない。
まだ追いつけそうにもないです。

あの頃のブルースと今のブルース。
心が変わってないから、今も３５年前も変わらない音が鳴ってると思ってます。
山口冨士夫のギターは、そんな感じがします。

またコメントください。
思い出を辿るように・・・。
宜しくお願いします。
by ルースターズ (2006-09-18 16:59) 

はじめまして。
村八分が伝説のバンドというのはよく耳にしていました。
以前清志郎さんが若いとき、ダイナマイツの富士夫さんのぶっ壊すようなギターに憧れて見に行った、って何かで仰ってました。清志郎さんとの関係も興味あるなあ。。

一度聴いてみたかったので最近やっと村八分の
三田祭ライブのCDを買いました。詞も音も写真もかっこいい！
ボーカルのレロレロ加減はあれはいつもああなのかな。。
もっと他のCDも買ってみます。
お薦めあったら教えていただけませんか？
by まりん (2006-10-02 18:18) 

＞まりん様
毎年、ＦＵＪＩのステージの近くには、冨士夫さんがキヨシローのステージを
見てるそうですよ。
僕も一度目撃して、「アンタが登れ！あがれ！」って思ったもんです（笑）
ステージが終ると、バックステージに消えていきました。
今でもキヨシローのリスペクトの１人に冨士夫さんがいるはずですよ。

村八分の音源自体が少ないんですよね。
なかなか手に入りませんが、「草臥れて」ですかね。
「ＬＩＶＥ！」よりは全然いいです。ただ、廃盤なんで・・・。

山口冨士夫を聞くなら、「ひまつぶし」ド級のＲ＆Ｒです。
魂持ってかれますよ。
「ひまつぶし」であれなら、、本気はどんなんだったんだって・・・。
http://blog.so-net.ne.jp/roos ters/2005-01-05
↑
過去記事です。参考になるかはわかりませんが・・・。
ちなみにライブも見ました。現役ですから。
タイミングが合えば是非！！！
http://blog.so-net.ne.jp/roosters/2006-02-17
by ルースターズ (2006-10-02 20:16) 

初めて富士夫を見たのは１５歳の夏。青森の六ヶ所村のいのちの祭りで。あまりのかっこよさにオシッコちびりそうになりました。　おいら神様じゃなーい　っていうMCにもしびれました。あれから幾年・・一昨年、やっとこ　富士夫ちゃんに再会ー！！京都精華大の学園祭で・・涙・・最後は、彼氏に持ち上げてもらって富士夫のボロ靴にタッチさせて貰いました。人生でみた富士夫は通算５回！死ぬまでついてくぜ！！
by ボロ靴 (2006-10-03 23:00) 

＞ボロ靴様
１５歳。
そんな１５歳だったら、僕の人生は変わっただろうな。

今は革の綺麗な靴を履いてますよ、冨士夫さん。
人生が走馬灯のように、巡るギター弾きを見たのは、
彼が最初で最後です。

心が沸騰する瞬間がわかる、ホンモノのギター弾き、ブルース歌い。
僕も、ずっと感じてたいと思います・・。
by ルースターズ (2006-10-04 06:51) 

たびたび失礼します
いろいろ薦めてくださってありがとうございました。
せっかく教えてもらったアルバムはどれもなくて
（廃盤なら当たり前ですが）村八分ライブを購入しました♪
三田祭・・よりは聞き取り易かった。おんなじ曲でもぜんぜん違うので飽きないのがライブ盤のいいとこですね
音楽は詳しくないので細かく言えませんが、陶酔感があるというか・・かっこいい！あの時代お客さんはみんな座って聴いてるのかなあ
ロック画報が今月号裸のラリーズ特集してます。
裸のラリーズも興味あるのです。
なんかどんどん７０年代の日本のロックにハマりそう。。
by まりん (2006-10-05 17:49) 

＞まりん様
あの「ライブ」あんま評価されてないんです。
村八分はまだまだこんなもんじゃねぇ！という評価なんです・・。

ラリーズですか。
それもまた冨士夫さんですね。
僕はあんまラリーズには殺されなかったです。
山口冨士夫の「ひまつぶし」の方が村八分よりもショックでしたから。

単純明快って素晴らしい。
ラリーズの方が、「草臥れて」探すより大変でしかも高価ですよ（苦笑）
by ルースターズ (2006-10-06 08:08)