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押田大佑 [INFOMATION]

先日。
タワーレコードに足を向け。
幾つか気になるCDを探しに。

タワレコに行くと必ず足を向ける場所があって。
ヴィジュアル系のコーナーで。

ボクは基本、ヴィジュアル系は聞かないし、好みでもないけど。
一度も馬鹿にしたことはない。

彼がいるから。

彼はボクの同級生で。
最後に逢ったのは、ボクが生まれて初めてルースターズの「ロージー」を聞いた夜の。
新宿リキッドルームの朝焼けを過ぎた、歌舞伎町を歩いている時。

見るからに汚いワゴン車の窓を開けて。
彼がボクに声をかけてきた。
彼はこれからLIVEに出かけると言って笑って、ボクと別れた。
実に久し振りの彼は、メイクを施し綺麗な顔をしていた。

ボクは帰路の途中で。
TABOOでのチバユウスケのかけたレコードのルースターズの衝撃と。
彼と出会えた久し振りの再会の懐かしさに。
何か妙な高揚感があったことを今でも思い出せる。

彼はその頃のバンドから「蜉蝣」と名前を変えて。
ヴィジュアル系の中では、瞬く間に沢山の人の心を掴んでいったことを、
それからしばらく経ってから知った。

いつだか。
新宿を歩いていたら。
解散してしまった「蜉蝣」のステッカーを目一杯貼ったキャリーバックを転がしながら。
その娘は、目一杯の主張ある服で。
とても堂々と歩いている姿を見て、彼の功績を素直に驚きとともに、
良き音楽を奏でているんだと思った。

彼は多くのファンには、「カリスマボーカリスト」だったけれど。
ボクには「押田大佑」でしかなかった。
笑顔がすげぇ可愛い押田でしかなかった。

アイツの活躍を知っても。
ボクはヴィジュアル系には傾倒しなかったけれど。

彼の頑張りは、ボクにとっても何か励みだったし。
目一杯格好つけて。
目一杯我を通して欲しかったし。
その姿が、ボクにはアイツには負けねぇと想えたし。
なんか、道しるべだったんだけど。

アイツは、そんなボクの気持ちも知らず。
逝っちまいました。

彼の死を知り。
彼には不名誉かもしれないが。
ボクの知ってる押田を書き留めます。

それはボクの目標にもなってた男は。
ファンの方々が知ってるような押田じゃなくて。
ただのイカシタ男だったからです。

中学は一緒に野球やって。
レギュラーにもなれるのに。
部活をしばしばサボって、レギュラー外されて。
でも試合では、なんだか打ちやがって。

でもチャゲ&飛鳥の飛鳥みたいな髪型したりして。
(チャゲ&飛鳥が好きなわけでもねぇーのに)

制球力が良くて。
ピッチャーもやった記憶もあるな。本当にセンスがいいヤツだった。

高校になって。
音楽を始めて。

俺の人生で初めて見たバンド演奏は、押田のドラムのバンドだった。
当時は「X」のコピーをしていて。
寝ても覚めてもドラムのことばっかり考えてるようなやつだった。
山のような半券の中から、その日のライブの半券を見つけられなかった。

ボクも実は当時「X」が好きで(笑
押田とそんな話をよくしたもんで。

押田が初めてのLIVEも行った。
あれが金を払って見た最初のLIVEだった。
メイクをしてタイコを叩くアイツに、妙なカッコよさを感じたもんだ。

その頃、少しずつやる気のなくなったアイツは。
授業も寝て過ごし。
試験も我関せずで寝て過ごす様になって。
ヤル気がねぇーのか、生きる気がねぇーのか。
なんだか中途半端な野郎になってた。

故、成績も酷いもんだった。
世捨て人みたいになってたが、女の子の話だけは楽しくしたもんだ。
(男子校だったから、彼女は当然違う学校だったんだが。)
随分の時間、1人の娘と付き合ってた。

遅刻も散々して、成績もクソみたいになってたが、
アイツに「高校ぐらいは出ようぜ」みたいな話をした気がする。
出席日数の計算もしたし、なんとなくコレぐらいは覚えろよ。
みたいな試験の話も。

ある日。
ボクが遅刻して、ダラダラ学校に行く駅の階段で。
走って帰る押田とスレ違った。

まだ2限目ぐらいだった気がする。

「帰んの?」と聞いた彼は。
ボクに何も言わず、走って階段を下って行った。
なんだか顔が紅潮して泣いていた。

学校に行くと。
母親が危篤らしく。
それで早退したと教えられた。

程なく。
彼の母親は亡くなり。
告別式にも出向いたが。
彼は気丈に迎えてくれた。

涙が枯れるまで泣いたそうで。
ボクらが帰るまで、一度も涙は見せなかった。
それから、マジメになったという美談はない(笑

ボクの話を聞いたわけでもないだろうが。
退学はしちゃいかん!と散々辞めてった馬鹿野郎どもを引き合いに。
辞めてもなんも残らないが、卒業したらなんとなくなんか残るみたいな話も
そういや散々して、出席日数も余裕なく卒業したはずだ。

やることもないし、学校やめてもどうってことはない。
そんなようなことをいつも話してた。
それがなんかムカついて。
いっつも辞めちゃいかん!って言い続けた。

あれから、たった13年。
アイツは逝っちまいやがった。

大佑

夢は叶ったのかい?
行きたい場所に行けたのかい?

俺はオマエのサイン会にこっそり行って、
サインを貰ってみようかって考えてたんだよ。

俺には授業中寝て。
休み時間にデカイパン食ってさ。
体操着姿のオマエの姿しか印象にねぇーよ。
大げさなスローイングだとかさ。

PVに映るお前は、あん頃の俺が知ってるお前のまんまだよ。
無理にタバコを吸ってる感じのさ。
あの感じのまんまだよ。

まだまだこっそりオマエの姿を見ていたかったよ。
我を通し。
万人に受けることよりも。
自分のやりたいことをしっかり通してるように。
傍から見る俺にはそう見えたよ。

オマエにもう逢えないのは、何か切なさ以上の無念さが残るよ。

押田。
誰がなんと言おうと。
オマエの音楽はカッコよかったよ。

ROCKだとか。
ROLLだとかじゃなくてさ。

多くの批判や嘲笑であっても。
オマエのファンは、持てる限りのすべてで
オマエの音楽を、オマエを好きでいたんだと想うよ。

PVやLIVE映像を見ながらそう想ったよ。



いつか。
高校出たのは俺のおかげだよなと。
恩着せがましく話すつもりだったのに。

オマエはきっとあのどうしようもなく可愛い笑顔で笑うんだろうよ。


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2010.07.07 家族の風景one year ブログトップ

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