SSブログ

「毎日かあさん」 監督:小林聖太郎 [君にMOVIEを!]

PA0_0746.JPG

妻と毎日かあさんを見てきた。

小泉今日子×永瀬正敏の出演、
永瀬正敏の役者魂たる減量、
封切前から話題には事欠かなかったが、
正直にいえば、もう少し脚本に密度があってもいいんじゃないか?と
思うぐらいさらりとしていた。
熱っぽさがあまり無い感じ。
西原理恵子の原作には熱っぽさがあるのに。

主眼ははっきりしていたので、
そこをしっかり踏まえると、また見方が変わってくると思う。
アルコール依存症と家族、そしてこども。

さらりと感じつつも、グダグダにならなかったのは、役者の力だと思う。

自分のバローメーターで泣く!!とわかっていながら、
鑑賞する過度な期待感の高揚を胸に。
「死」に直面するシーンを頂きにすると、
そこまでのシーンは、階段にしかすぎず。

登っていくその過程にしては、さらりとしている。
そういうイメージなのかもしれない。

例に漏れず、死に対峙する場面では、涙でしかなかったわけだが。

永瀬正敏がいつもと違うと感じた。
役柄ではなく、妙な親近感を抱いた。

先日、偶然テレビで、小泉今日子×永瀬正敏×古田新太の対談が
やっていたが、そこにもあったように。

今までのフィルムの永瀬正敏は、孤高のようになっていた。
見ていても、そのカッコよさや頑固さや融通の利かない感じが
フィルムからも滲んでいた。
壁がある感じ。
その憑依の仕方が完璧というか異常。

今回の毎日かあさんでも基本的には変わらないのだとは
思うのだけど、ピリピリとした空気が伝わらない感じが
より柔和で人間くさい部分を、充満させてくる。

永瀬正敏だが、永瀬正敏じゃない感じ。
考えてみれば、永瀬正敏の映画を見るのも久しぶりなのかもしれない。

鴨志田穣が重なってくるようなイメージは、本当に見ていても
空気がきっちり付いていて、見ている側が妙に鳥肌を感じるぐらいの
そんな感覚に陥る。

後半につれ、小泉今日子も西原理恵子に見えてくる感じは、
妻との共通の気持ちだった。

そんな2人の妙な空気をもっと感じたい、嗅いでいたい中で、
消化不良のまま、クライマックスへ流れていく。

でも、きっと撮影している側は楽しかったと思う。
長い長い時間をすべて切り取りたくなるような、
本当の家族とこどもの笑顔だったのだろうなと思えてくる。

アルコール依存症という厄介な病は、
気合だとか根性でなんとかなるもんではない。
ここに鬱病も絡んでくると、もはやどこから切りだしていいかわからなくなる。
苦しい病であること。

場面の抽出の仕方がもっとほんわかしたものではなく、
もっと凄惨でもよかったのではないか?とも思う。
こどもの姿も、小泉今日子の演技もそれに耐えうる柔らかさが
あるのだからとも思う。

ホームドラマに近い形にしては、話しがシリアスだし、
シリアスにしては、ゆるい。

もう少しの何かを持てば、ただ「死」というものだけではなく
心に去来するものが、とてつもなく大きかったと思う。

ボクら世代には、永瀬×小泉となれば、
金を出しても見たい映画になるのではあるが。

単純に2人の次回作が気になるような踏み台的な部分もある。
原作の良さを、原作を表現しながら、もっとわがままに。
もっと踏み込んでも良かったのではないか?というのが感想。

いずれにせよ、2人の演技は圧巻。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。